JFEスチールの扇島工場を見学してきました
2016/04/09


JFEスチールを見学して       2016.3.29. 德丸芙佐子

KCPスタート以来の会員でいながら、あまり活動に参加出来ず、企画がいつも素晴らしい交流会にも、途中でうまく歩けなくなり、ご迷惑をかけることになってはと、参加を見合わせていたが、今回の工場見学は時間も短く、何といっても生まれ育った川崎を象徴するような場所なので、早速申し込ませていただいた。世の中の諸事情に詳しい人に話したところ、人気があり、予約をとるのが難しいところと聞かされますます期待が高まった。

快晴のなか、小学生も含む多種多様な人々を乗せたバスは、多くの川崎区住民にとってお馴染みの場所を通って、池上、水江町、扇島へと進んでいく。駅前のバスの案内所で見慣れている地名だが、行ったことはないという場所である。地誌などで書かれている池上新田あとは現在会社が所有しているとのこと。長い四角い形の海底トンネルを通過し、扇島に到着する。扇島はセメント王と呼ばれた実業家、浅野総一郎氏の家紋が扇なので扇島と名付けられたとのこと。アメニテイセンターで説明を聞き、日本鋼管と川崎製鉄が合併しJFEスチール株式会社東日本製鉄所となったことを知った。

このプラントは総工費1兆円で建設されたが、工費の20%は植樹などの環境保全に費やされたとのことで、大量に使用する工業用水は蒸発分を除き100 %循環させ、樹木も多い。子供の頃、六郷川を渡り東京の学校へ行く電車の窓から、臨海部に立ち昇る煙を見て育ち、あの煙はどうなったのかと考えたことすら忘れるほど、煙のない生活が当たり前になったのも、このような企業努力によるものと知った。

8,000人の人が4交代で働いているとのことだが、人の姿はあまり見られない。敷地内には原材料、製品を運ぶための線路が敷設されているが、重量に耐えるよう広軌であるという。高炉は二基あるが、現在は一基のみ稼働中、お目当ての厚板圧延を見学するためヘルメットと手袋を着用し、鉄製の高いバルコ ーに登る。工場内は薄暗く、わが国最大といわれる圧延機上で、真っ赤に加熱させられたスラブが噴射する水を浴びながら、前後に動き徐々に伸びていき、ある一定の長さ或いは幅になる頃には、次の真っ赤なスラブがまるで出を待っ役者のように、機械の一方の端に鎮座している有様は圧巻且っ幻想的ですらある。高炉は一度火人れをすると20年止めることはできないということなので、どんどん出来上がる製品をどうさばくか、ご苦労が多いことだろう。鉄鋼は現在中国が世界で48 %のシェアを占めているが、日本は特殊鋼など高品質の製品分野で健闘しているようである。

この会社が他の会社と共に川崎の発展に貢献したことは、在来の川崎市民ならば決して忘れない。多くの困難を克服し、現在も困難を抱えながら輝き続け、工場夜景という観光スポットになった工場群のなかでも、特に馴染み深い工場の見学は実に有意義で、特に厚板圧延は、まさに産業の力強い鼓動を聞くようでカづけられ思いがした。